第4章 石と宇宙人

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第4章 石と宇宙人

第4章森と光 翌日、私は約束通り、報道陣の所に向かった。 しかし、報道陣達はそれどころでは無い様子だった。 近くに居るスタッフに話し掛ける。 「どうしたんですか?」 すると 「2年前に見つかった6個の石が無くなったんだよ。 今はその話題でバタついているんだ。」 石が無くなった! 教室の3階にあった石も消えたのは、この目で見たので、知っていたが・・・ 何が起こっているのか、謎だらけで、よく分からない。 ここにいてもしょうがないので、一旦家に帰ろう。 籐子の家に荷物を置いたまま来たので、荷物を取りに籐子の家に寄ってから家に帰る事にした。 籐子の家に戻っている途中、父から電話が入る。 「すみれか?石が無くなったんだって?」 「うん。今、報道陣に聞いたわ」 「もうすぐ着くから、学校のグラウンドで待っててくれ」 「分かった。」 電話を切って、急いで籐子の家に荷物を持って学校に行く事になった。 中学校に着いた私は、父の車が到着するのを持っていた。 父の車が到着して、車に乗り込む。 中学校の駐車場に停めた状態で父が話し掛けてきた。 「大丈夫だったか?」 「うん。でも色々あって訳が分からないわ」 その後、今まで起こった事を父に伝えた。 「う〜ん。どう考えても、この世の技術では考えられない。 それに元気君の行動もそうだが、祖母だけ分かる記憶喪失も不思議だ」 「元気の?」 「うん。心配掛けてごめんと言ったのは、状況が分かってる人が言う言葉で、その時にいた、すみれが分からず、祖母だけ分かると言うのも、何か引っかかる。」 「そう言われると、確かにおかしいわね」 「まずは元気君に話を聞きに行くか?昨日の事もそうだが、何か知ってる筈だ。」 そして車を走らせる。 取り敢えず自宅に帰り、歩いて元気の家に行く事になった。 学校や村役場の通りを抜けると一気に道は細くなる。 路線バスも送迎バスも小型のバスを使用しているが、すれ違うのに苦労する。 地元の人は、その時間を避けて車を走らせるが、地元以外の人は、知らずに車を走らせる。 普段なら車で15分も掛からないで家まで着く道を、各地にあった石が何処に行ったのか探そうとしている人や、村を一周して村の情報を得ろうとする報道車両で、ごった返していた。 「まったく困ったもんだ」 と父が呆れた様子で話す。 家まで500m前後だが、元気の家までは300mだ。 「ねえ、私が先に降りて、元気の家に行って来るよ」 「お婆ちゃんも居るし、大丈夫よ」 「パパも車を置いたら、すぐに行くから。元気君の家で待っててくれ」 「分かった。」 私は車を降りて元気の家に向かった。 玄関の前に着き、チャイムを鳴らす。 「は〜い、どなた?」 と奥からお婆さんの声が聞こえた。 「すみれです。元気居ますか?」 すると、お婆さんが玄関までやって来た。 「元気は、朝から森に行くとか言って、出て行ったよ」 「森ですか?どこの森だか分かりますか?」 「いや、そこまでは言ってなかったよ」 肩透かしにあった気分だ 「ねえ、お婆さん。元気は、いつもと違う感じはしませんでしたか?」 「いいや、特に変わったところはないよ」 「そうですか。あの日から元気は、私の事も分からないみたいなんです。」 「そうだったの?でも家ではいつもと変わらないのよ」 家ではまったく変わった様子が無いみたいだ。 う〜ん。さっぱり分からない。 「元気が帰ってくるまで、部屋で待っててもいい?」 「あ〜いいよ。後でお茶持って行ってあげるから、入ってて」 「は〜い」 私は部屋に入る。 ! テーブルの上に、手のひらサイズの7個の石が置いてあった。 その石は例の月の形をした石だった。 カタッ 何? 満月の石、すなわち教室で出来た石が微妙に カタカタと動いた。 何で動くの? 私は満月の石を持ち上げて、何か入っているのだろうかと石を振った。 すると石から ドンドン まるで中に人が入っている様に、石の中から叩く振動が伝わった。 何これ? すると部屋のドアが開き 元気が部屋に入りながら、 「その石の中には、元気君の心が入っているんだよ。」 ? 「何言ってるの?」 元気が話し始める。 「僕は両親を探しに、この星に来たんだ」 だから、何を言ってるの? 「僕達には身体は無い、正確に言うと見えないと言った方がいいのかも知れない。 物を動かす事も出来ない。 ただ、月の重力を得れると物を動かす事が出来る。」 3年前、僕は近くの森にやって来た。 しかし、寄生するために必要な月の力がなく、2年前に月の力を一点に集中させるための6個の道具を作った。 そして1年前に実行しようとしたが、1年前は力が集中する場所に人の姿は無く。 僕は月の力があるうちに、森に置いてある飛行船で両親を探しに出かけた。 でも、その短時間では両親を探す事が出来なかった。 やはり人に寄生して、月の力を借りないでも動ける様にしないと、両親を探す事が出来ないと思い、月の力が来る日を最期の装置に入って待っていた。 すると月の力がやってくる日に、君達が僕を月の力が集中する場所まで持って行ってくれて、元気君の身体を借りた。 次の月の力がやってくる1ヶ月後までに、この身体で両親を探したいんだ。 ここの装置に入っている元気君も、1ヶ月の約束で引き受けてくれた。」 ? ? でも辻褄は合っている。 「でも何で話せるの?」 「ここから声が出るんだろうけど、ここからは声を出していないんだ。 直接、話す人に伝えているんだよ。」 「テレパシー?」 「ここではそう言うのかな?」 そうか、校庭で感じた違和感はこの事だったのかも 「それで、アナタの星の人は何人いるの?」 「僕だけだよ。だって僕の両親を探しに来たんだから、そんな事のために他の人は来てくれないよ」 う〜ん。信じられる様で、信じられない。 「じゃあアナタの宇宙船見せてよ。そうしたら信じるから」 「いいよ。ただ見えるかな? それと一つ聞いてもいいかい?」 「何よ?」 「さっきから、ここが「ぐう」と言って、うるさいんだけど、何かな?」 とお腹を手でさする様に言った。 「もしかして何も食べてないの?」 「食べる?」 「そうよ!食べなければ死んでしまうわ! 仮にアナタが言っている事が本当なら、心は変わっても身体は正常なのよね? 1ヶ月後に元気が戻ってくるのなら、ちゃんと生きてくれないと困るのよ!」 「生きる?」 私は手を取り、元気の心臓の上に手を当てさせて 「ここが止まったら、死んでしまうの。 そうしたら元気は戻れなくなるわ。 だから気をつけて!」 「でも、どうしたら生きれるか分からない」 う〜ん。どうしたらいいんだろう? 「まあいいわ。元気のためだから、生き方を私が教えるわ ちょっと待ってて!」 私は元気のお母さんの所に行き 「元気がお腹減ったって、言ってるんですが?」 「台所におにぎりがあるから、あげてくれる?」 「はい、分かりました。」 私は台所に行くと、テーブルの上にラップにくるんだ、大きなおにぎりが3個置いてあった。 そのおにぎりを持って、元気の部屋に行った。 おにぎりを包んでいたラップを取り、元気に渡す。 「これを口に入れて、よく噛んで飲み込むのよ」 とジェスチャーを行いながら言った。 少しおにぎりの先端部分をちぎって、口の中に入れる。 噛むジェスチャーをすると、私の真似をして噛んだ。 「何だ?この感覚は」 元気は驚いている。 私は舌を出して、舌を指差して 「ここで味を感じるの。噛んでいると味を感じたでしょ?」 「あじ?口から何か出て来た。」 「それは唾液よ」 「もう一度、口に入れて」 私が言う通り、少しちぎって口の中に入れた。 「わあ!何だ!」 「それは梅干しって言う食べ物よ。さっきとは違う味がしたでしょ?」 「味って色々あるんだね」 「取り敢えず、それを全部食べてみて」 そして、昆布のおにぎりと山菜の佃煮が入ったおにぎりを食べた。 「どう?」 「本当に味って色々あるんですね」 「ねえ、ところでアンタ臭いんだけど」 するとズボンを下ろして、 「ここから水が出てくるんだ」 私は目のやり場に困る。 「取り敢えず、ズボンを上げて」 「ズボン?」 私は目を背けてズボンを上げた。 「後で父が来るから、やり方を教えてもらって!」 そう言っていると玄関から父の声が 「ごめんください」
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