佐橋美智子先生

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 全く慶太は佐橋先生様様で彼にとって佐橋先生は女神様のような存在だった訳である。因みに彼は小学三年四年の時も担任の先生が女の先生になったが、まるで馴染めなかった。両学年の担任の先生共に佐橋先生に負けず劣らずの器量良しだったが、佐橋先生と接していた時のようには全く行かなかった。佐橋先生との出会いは彼にとってこの上もなく幸運な事だったが、柳の下にいつも泥鰌はいないのである。二人目の佐橋先生を望むのは虫が良過ぎたのである。佐橋先生のように接して貰う訳にはとても行かなかったのである。特に三年生の時の担任の先生に初めて対面した時、彼は佐橋先生とは全く正反対のきつく冷たい印象を受けたので佐橋先生とのギャップにがっくりしてしまい、以後も佐橋先生のように話し掛けて貰える筈がなかったので第一印象の儘、一年が過ぎてしまった。おまけに三年生の時はクラス内に小煩くて威圧的で不細工な女子生徒が居たので彼は楽しかった赤童子町での暮らしの中で小学三年生の年は唯一若干、嫌なイメージが残る事になったが、友達はクラス内にも一杯いたし、三年生になってからも下校の時に学校を囲む生け垣の間の出入り口の脇で佐橋先生が見送ってくれる際には、お道化を演じて佐橋先生を笑わしていたので充分楽しく過ごしていた。他の先生の前では決してお道化を演じる事は出来なかったが、佐橋先生にだけは懐いていたし、自分は面白い儘だよと示したかったし、いつまでも気に入られていたいと思っていたから出来たのである。
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