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契約して
男の子は『うん、リョーカイ』と微笑むと、何かを呟いた。それが全て私の耳に届く頃には、私の意識は途切れてしまっていた。
狭まる視界に映った彼はキラキラして見えて、やっぱり私のお迎えに来たんじゃないかと思った。
再び目を覚ますと、私は夜空を見上げていた。体を起こすと、そこは雑草で埋め尽くされた空き地だった。
「ここは……」
『どう?生きてる心地は』
どこからか、あの男の子の声がした。辺りを見渡してもそれらしい影は見当たらない。
「え、なに……どこにいるの?」
『なにって…君が助けてって言ったんじゃないか』
『それに』と楽しそうな声は続く。
『ボクはちゃんと目の前にいるじゃんか』
私の体が意志に反して動く。隣の家の窓に映った私と目が合った。それは見覚えのある笑みを浮かべた。
『助けてあげた代わりに、ボクと契約してね。おねーさん』
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