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ねぇ、
気がつけば、辺りは火の海だった。
「おとう、さん……?」
私はボヤける意識の中で、視界に映った人だったものを呼ぶ。人の形をしたそれは返事をしない。
動こうとしたが体のあちこちが悲鳴をあげた。私もいずれああなるのだろうと、炭の塊を眺めた。貴重な体内の水が目から溢れる。
「…誰かっ……たす、け…」
細くなっていた意識が切れそうになったとき、悪魔の囁きは聴こえた。
『ねぇ、ボクの力を貸してあげようか?』
虚空で胡座をかくそれは、可愛らしい男の子の姿をしていた。
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