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大罪になってよ。
『私』は再びニヤッと笑った。
『おねーさん、言ったね?悪魔との契約を違えることは許されないよ?』
私はゴクリと唾を飲み込む。彼の気持ち悪い気配で、全身の毛が逆立つような感じがする。魂の全てで、彼を危険だと察知した。
『私』は何かぶつぶつと唱えだした。それに反応して辺りの風が円を描き出す。私も身体を風に包まれる感覚に襲われた。
少しして風が落ち着いてきたのを感じると、『私』はまたあのニヤッとした笑顔をこちらに向けていた。
『契約、成立だね。ボクの名前はレヴィアタン。よろしくね』
「私はCordelia…Horne。……よろしく」
挨拶が終わると同時に、身体がフワッと浮いた感覚がしたと思うと、直後、重力の全てが体にかかったかのような感覚に襲われた。
「なにっ……こ、れ」
あまりの重さに、思わず膝をつく。そこでハッと気づいた。体が動かせるようになっているのだ。
思わず両の手を見つめた。グー、パーと力が入るか確かめてみるが、違和感なく動いてくれる。
『どう?久しぶりの自分の体は』
「不思議な感じ……こんなに重かったっけ?」
リヴィアタンはクスクスと笑った。その声は頭の中に響いているのだと、ようやく気がついた。
『少しの間でも肉体の支配権を奪われていたからね。そう感じるのも無理ないだろうけど……悪魔や天使が肉体を持たない理由が分かったんじゃない?』
「…じゃあ、あなたのあの姿は何?」
少し、考えるような沈黙の後、リヴィアタンは答えた。
『…まぁ、昔の知り合い……みたいな?』
その声色は、深い苦しみに染まっていた。
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