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熱を帯びたような視線で山辺は凛を見つめる。
「ちゃかさないでください。本当はネズミが出たなんて嘘だったりして」
「どういう意味?」
「だから」
「だから?」
「先輩は家に帰りたくないのを口実にして、本当は今夜僕と一緒にいたかったってことです」
と、言いながら、山辺は長い睫毛に影を落としながら、凛の唇にゆっくりと顔を近つけた。
「!」
お互いの吐息と唇が触れあうスレスレで、凛は山辺を突き飛ばして、山辺は床に転げ落ちた。
「一瞬、耐えられるかなって思ったけど、やっぱり無理無理無理!!!私、一目惚れの恋しかしたことないし、山辺を弟みたいにしか思えないんだもん!」
「せ、先輩…」
「お風呂入って来る。風呂、どこ?」
「に、二階の左側です…」
山辺はお尻をさすりながら、涙目でツレない想い人の背中を見送り、肩を落とした。
「……耐えられるかなって、酷い」
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