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「あのね、昨日僕ね、とってもいい夢を見たの!」
次の日、ボクがいつも通り気まぐれにプラプラと歩いていると、そんな会話が聞こえてきた。
ボクはそちらを見、微笑んだ。
「あらあら、どんな夢を見たの?」
「あのね、パパとママと一緒に公園で遊ぶ夢!楽しかった!!」
「そうなの。良かったねぇ」
りっくんは、ボクと会ったことを記憶していない。
というか、ボクがそうさせた。
もし何処かでボクと会ったという話をして、嘘つき呼ばわりされちゃったらダメだからね。
だからボクと会ったことを忘れられるようにしたんだ。
だけど──……。
「あ、あとねー……」
「うん」
「優しいバクさんに会う夢を見た!」
りっくんは凄い。
ボクの力を無にしてしまう位、強い心を持っている。
「すっごく優しかったんだよ!」
ボクはそんなりっくんの声を聞きながら、その場を去った。
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