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「なんとなくでマネージャーになる人なんて、あんまりいないでしょ」
「あ〜......。
愛美がそれでいいなら、いいんじゃないの?
理由はどんなことでも、俺は愛美がここにいてくれて嬉しいと思ってるよ」
それって......どういう......。
思わず祐希の顔を見ようとしたけど、今度は私の方が視線を逸らされてしまった。
「え......、そ、そっか」
別に深い意味なんてないかもしれないけど、でも、何でだろう。祐希が嬉しいと思ってくれてるなら私も嬉しい......ような気がする。
月明かりの下でも分かるくらいに祐希の顔は赤くなっていて、つられてこっちまで顔が熱くなってきそう。
「そ、そう!......じゃ、じゃあそろそろ帰ろう!遅いし!」
強引に話を切り上げ、逃げるように部室の方向に走っていってしまった祐希の後を私も追う。
ボロボロになってまでバットを振り続ける祐希の気持ちは、分かるようで分からない。
それと同じで、なんとなく祐希と同じ高校にきて、なんとなく祐希と同じ部活に入った自分の気持ちも分かるようで分からない。
何の色気もない私たちの二人きりの時間も、私の気持ちも、祐希の気持ちも。
きっと、月だけが知っている。
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