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彼女襲来
「どうしたの?大丈夫?、大丈夫かい?!」
焦ってしまった俺は、お決まり通りの言葉しか出て来はしない。
それでも、とにかく涼しいところへと連れて行かなきゃ。その思いで女の子を抱きかかえた。
軽い!
軽かった。そっと抱き上げようと思っていたのに、想像した力が余ってしまい勢いよく抱き上げてしまう。女の子は悲しいぐらいに軽かった。
それに、至近距離から見えた手足が簡単に折れな程に細くて、俺は泣きそうになってしまう。
何が”大丈夫かい!”だ、大丈夫な訳がない。いくら焦っているからといって、こんな状況の幼い子供に何を言ってるんだ俺は。
肯定の言葉を返してくれるのを期待してるのか?
このバカが・・・。
つい口走ってしまった言葉に俺は猛省。直ぐに気づけなかった自分が情けなかった。そんな俺に、
「ぅん」
女の子は微かな声を絞り返して来た。
それは、つい期待してしまっていた肯定の言葉であった。だけど、その一言が言い表せないくらいに悲しかった。
「待っててね」
きっと、炎天下の中、パパのことを持ち続けたたんだ
とにかく、早く涼しいところで休ませなければ・・・
そう思い、片手で女の子を支え玄関のカギを開け、俺は家の中へと急いだ。
ムッとする部屋の空気の中、女の子に「ごめんね」と一声掛け、慌ててキッチンを通過し唯一の部屋である10畳一間に入る。そして、ベランダ横にある俺の安ベッドに寝かせた。
家を出る時に持って出た、持ちなれないセカンドバッグと、女の子から手渡された手紙は乱雑に部屋の中央に位置するテーブルの上に投げ置いた。ゆっくり見直してる場合ではない。
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