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祖母の家からラジオ体操に参加した初日。
一番に話しかけてきたのが清斗だった。
「お前、ムネヒラのバアさんちの孫なの?」
『宗平』というのは祖母の苗字で、母の旧姓だ。
初対面で「お前」と呼ばれたことが気に入らず無視していると、さらに「なあなあ」と馴れ馴れしく話しかけてきた。
「親の仲が悪くて、預けられてるんだろ?」
事実とはいえ、デリカシーの欠片もないダイレクトな質問に無視を決め込もうとした考えも吹き飛んで、思わず大声で怒鳴っていた。
「関係ないでしょ、田舎モン!」
「はあ? お前は都会モンなわけ?」
売り言葉に買い言葉とは、こういうことを指すのだろう。清斗も黙ってはいなかった。
大声で捲し立てる上級生の口ゲンカに、下級生の中には泣き出しそうな顔の子たちもいた。けれど、その時は腹立たしさの方が先立って、「知ったこっちゃない」という思いだった。
『小さな集落は、噂話が広がるのも早いからね』
この一言は、その朝の帰宅後にケンカの顛末を知った祖母から受けた忠告だった。
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