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染めた頭を洗い流そうと俯いて湯をかけている最中に、ドンドンと洗い場の小窓を叩く音が聞こえた。
━━方向を見失った野鳥がぶつかってきたのだろう
そう思いこみ、無視したまま洗髪を続けていたが、何やら頭上が騒がしい。
「お願い、開けて！」
見上げると、小窓にベッタリと張りついた人影が、ガラスを突き破る勢いで助けを求めていた。
＊
「自転車で隣村の彼の家へ行く途中に、道を尋ねるふりをした男に襲われたらしいね。すんでのところで、貞操は守ったらしいけれど」
貞操の意味はよく分からなかったけれど、とにかく大きなケガもなく彼女は無事だったということらしい。
「警察に連絡しなくていいの？」
「『先に彼と話したい』って言うんだよ」
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