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別の日には、珍しく母が「本を買ってあげる」と買い物へと連れ出してくれた。
大型書店で少女小説を一冊購入し、滅多にない外食に心弾ませレストランに入店すると、窓際の席を陣取っている見知らぬ男性が片手を上げ、こちらに合図を送ってきた。
「待った?」
「いや、今来たところ。驚いたな、こんな大きなお子さんがいるんだ」
「ナリだけよ。まだ小学生だから」
誰? と聞くまでもなく、会話の内容で二人の関係が理解できた。
何でも好きな物を頼んでもいいよ、と言われたものの、母とその恋人の会話を聞きながら食べ物が喉を通るはずもなく。
買ってもらったばかりのハードカバー本で顔を隠しながら、ひたすらソーダ水を飲み続けた。
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