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「……本当にいいんですか。天沢さんに迷惑になりませんか?」
しばらく黙っていた少女が鷹也に尋ねてきた。彼は微苦笑しながら頷いた。
「ならないと断言しよう。逆に君たちを見捨てたら、私は一生自分を赦せないだろうね。
確かに……私たちは、お互いに対しての感情はない。だが、君のおなかの子供を大切に想う気持ちは同じだ。大丈夫。時間はたくさんある」
鷹也の決意を感じたのか、少女はおなかに手を当てて一度息をついてから頷いた。
「天沢さん、私、この子に生きてほしい……結婚、お受けします」
十五歳-高校生-の女性なら、結婚などまだ遠い世界の話だろう。しかし、少女は一人の身体ではない。見捨てた少年の子供だろうが少女は出産を決意した。
手を差し伸べた鷹也を、子供の父親として相応しいと判断してくれたのだろう。
鷹也は、その判断が正しかったと思ってもらえるように努力すると決意した。
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