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しかし、未成年の真澄との結婚は簡単ではない。
婚姻届を出して成立とならないからだ。真澄の両親が、鷹也と娘の結婚を許すとは思えない。
そこまで考えて鷹也は首を振った。彼は霧山家に連なる者だ。真澄の両親の財力なら、鷹也の秘密を探りだすのは可能だろう。
グループ内で、鷹也の正体は公然の秘密だ。そうなれば、即座に賛成して結婚を急がせるだろう。だが、そうなると鷹也は困る。
政治家の義母を持つつもりはない。
下の異母兄である英志は政治家一族の娘と結婚しているが、彼女の実家は大臣も出した名門だ。どちらにもメリットのある結婚だった。
なので、タレント候補と呼ばれる女性に、霧山家を利用されるわけにはいかない。鷹也の立場に響く恐れがある。
「真澄。もし、両親と縁を切ってほしいと言ったらどう思う?」
「……分かりません。でも、戻ることは無理ですよね……」
複雑な感情が込められた声に、鷹也も辛くなるが、おなかの子供に最適な環境を与えたいと思うと、そのままにはできない。
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