第三章 大切な人への誓い

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 ***  指輪が届く頃、結婚写真の撮影も行った。  真澄は妊娠初期なので、あまり腹部の膨らみはない。だが、圧迫するドレスは避けることになった。華奢(きゃしゃ)な真澄に似合った可愛らしいウェディングドレスを鷹也は(すす)めた。  幼いほど若い彼女には、シンプルなドレスはあまり似合わなかった。  「鷹也さん、ものすごいイケメンだから周りの視線が痛いです」  笑いながら言う真澄に鷹也は苦笑した。  「もう、アラフォーだから、今さら……」  撮影が終わっても視線を感じて少し苛立(いらだ)った。霧山本家や近い者たちも同じだろうと思うが(なぐさ)めにならない。  それでも、可愛らしさの中に将来の美しさを秘めた真澄には愛おしさを感じた。  できあがった写真を真澄は幸せそうに見ていた。彼女が満足するなら鷹也も嬉しい。白い花に包まれたフォトスタンドに入れてリビングに飾った。  殺風景だった部屋が明るくなるような気がした。
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