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ここで彼女は理奈を向いた。勝気な姉と控え目な妹のように見える二人だ。
「理奈だって、妹いたら嬉しく……あ、ごめん」
気まずそうに黙った紗彩に、理奈が努めて普通に返したのが鷹也にも分かった。
「うん、そう思う。こんな可愛い妹、欲しかったな……」
慎也が理奈の肩を抱いて、妹を軽く睨んだ。
「あの……」
室内の気温が低くなったように感じたらしい真澄が、鷹也をとまどった視線で見てきた。
「もう少し先に話すつもりだったが、話さないと真澄は隠されたと思うだろう」
鷹也は申し訳なさそうに理奈を見た。彼の表情を見て、理奈は頷いた。
「今でもいいですよ。真澄ちゃんの身体が大丈夫なら」
真澄は妊娠四か月。少女につわりは少なく、胎児の問題もないと紫垣病院では言っている。だが、妊婦の状態は鷹也では分からない。少女を見た。真澄はおなかに手を当てて頷いてきた。
「はい、大丈夫です。
もし、嫌でなかったら、聞きたいです」
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