第三章 大切な人への誓い

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 紗彩(さや)が理奈に謝っている。  「理奈、本当にごめん。すごく無神経だった」  しおれた態度の妹に、慎也はやはり少し厳しかった。  「これからは、考えてから何かを言う。  紗彩は意外に考えなしでしゃべるからな。気をつけろよ」  厳しい態度といっても元の性格が優しいから、鷹也からは(ゆる)い注意にしか思えないが、それでいいと思っている。甘いくらい優しいのが弟の長所だからだ。  「真澄。  理奈は、慎也……私の弟の妻だが、従妹(いとこ)でもある。私たちの母の兄が、理奈の父親だ」  繋がりを考えたようで、真澄は少し反応しなかった。鷹也はメモ用紙に、関係者の簡単な家系図を書いた。文字にすると真澄にも理解できたようだ。  「理奈の父親は、彼女の双子の妹だけを甘やかして、理奈のことは、最低限の養育も渋々行うような最低な人間だった。  彼らと私たちは話し合って、今後一切、理奈に関わらないことを約束させたんだ」  聞く理奈は唇を軽く噛んでいるが、言葉にすることはなかった。決別から一年以上が()つ。ある程度、冷静に振り返ることができ始めているのだろう。
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