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「それは今でも?」
自分以外にも親と決別した人間がいる。真澄には心強い事実かもしれない。
「うん。連絡もしないっていうのがお義兄さんとの約束だから、きちんと守ってる。どうしてるかな……会いたいわけでないけど、やっぱり気にはなる」
自分をあれだけ虐げた家族に対して、今でも理奈は複雑な感情を抱いているのだから、真澄が割り切れないのも当然だ。
「でも、普段は忘れてる。だって、慎也さんやお義母さんたちがいるから」
赤くなる理奈を慎也は優しそうに見つめている。本当に一途な男性だと、兄ながら思う。
「そうよ。ここにいるみんなは、これからは真澄ちゃんの家族よ。遠慮しないでね。私たち、家族が増えることが嬉しいんだから。
もう少ししたら、孫が二人も来てくれるし。
真澄ちゃんが良かったら、出産した後、ここでのんびりしていいのよ」
母親の穏やかな声に、真澄も安心したような笑みを浮かべた。夫の母親という存在を想像したこともないだろうから、仲良くできそうだと思ってくれたなら嬉しい。
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