第三章 大切な人への誓い

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 実家を出る時、真澄は残念そうだった。  「もっとたくさんお話したかったです」  夕刻までいたが、真澄には短かったようだ。鷹也も普通の男性と同じ感性を持っている。真澄が、自分の家族と話して楽しいと思ってくれるなら嬉しいのだ。  「次は一日いよう。  そういえば、理奈からいろいろ教わっていたね。先輩になる存在がいて良かったよ」  理奈に対しては、罪悪感ではないが複雑な思いを抱いている。  彼の存在が、理奈の不幸と無関係ではないからだろう。  もし、智子が普通の結婚をしていれば、健一(けんいち)も、理奈を普通に養育していたはずだ。もっとも、元々さして親しい兄妹ではなかったが。  だが、結果的に理奈は家族と離れる選択をして、鷹也はその後押しをした。そのことに後悔はない。あの三人は理奈の人生から切り捨てるべき存在だからだ。
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