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「彼の目的は?」
相手が話したかは分からないが、彼女の沈んだ様子は、何かを聞いた可能性が強いと思った。
「……先に、私から結婚したって言いました。だから、数馬とはもう無関係だって。
そしたら知ってるって。でも、おなかの子供の父親なんだから、権利があるだろうって言ってきたんです。認知させろって」
「……」
少年は結婚を知っている。
漏洩の可能性は一つしかない。彼らには予測でしかないはずだが、話したということだろうか。
だが、その可能性は鷹也の推測でしかない。調査の必要を彼は感じた。
「真澄、不安だろうが大丈夫。私がいる。必ず守るから何も心配いらない」
静かに抱き締めながら言うと、真澄は不安な表情だったが、小さく笑みも浮かべた。
「そうですね。鷹也さんは言ったことは守る人ですよね」
真澄は鷹也の背中に腕を回してきた。小さな身体を感じて、鷹也は庇護の思いを強くした。
二人は鷹也の家族なのだ。悪意を持って近づく者を、彼は決して赦さない。
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