第三章 大切な人への誓い

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 ***  翌日、鷹也は霧山運輸に向かった。遼雅の弟の翔真(しょうま)の業務は運輸が中心で、商事にはあまりいない。  「久しぶりだな、鷹也。結婚おめでとうだな。良かった。  これで独身は勇矢(ゆうや)だけか。あいつは自由人だから一生独身かもしれないけどな」  勇矢は、鷹也の一歳下の甥になる。下の異母兄の英志(えいじ)の息子だ。  自由気ままだが優秀で、今は霧山商事に籍を置いている。  遼雅と翔真の弟で、彼と同い年の従兄(いとこ)だった直弥(なおや)-肝臓がんで早逝(そうせい)した彼の穴を充分以上に埋めていた。  二十代の頃は周りに女性がいないことがなかったが、今はまったく影にも見えない。親しかった従兄の死は、勇矢に相当の衝撃を与えたのだろう。  遼雅もかなり信頼していて、専門であるコンピュータ関係の会社は、いずれ、彼が率いることになるはずだ。  ただ、結婚に関しては分からない。身内を調べようとは思わなかった。  「お久しぶりです。ありがとうございます。  落ちついたら本家にご挨拶に行きたいと思っておりますので、よろしくお願いします」  丁寧な口調に翔真は苦笑しているが変えるのは無理だ。直弥に対しても同じだった。彼らがいくら甥といっても、本家の息子だ。それは無理というものだ。
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