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翌日、鷹也は霧山運輸に向かった。遼雅の弟の翔真の業務は運輸が中心で、商事にはあまりいない。
「久しぶりだな、鷹也。結婚おめでとうだな。良かった。
これで独身は勇矢だけか。あいつは自由人だから一生独身かもしれないけどな」
勇矢は、鷹也の一歳下の甥になる。下の異母兄の英志の息子だ。
自由気ままだが優秀で、今は霧山商事に籍を置いている。
遼雅と翔真の弟で、彼と同い年の従兄だった直弥-肝臓がんで早逝した彼の穴を充分以上に埋めていた。
二十代の頃は周りに女性がいないことがなかったが、今はまったく影にも見えない。親しかった従兄の死は、勇矢に相当の衝撃を与えたのだろう。
遼雅もかなり信頼していて、専門であるコンピュータ関係の会社は、いずれ、彼が率いることになるはずだ。
ただ、結婚に関しては分からない。身内を調べようとは思わなかった。
「お久しぶりです。ありがとうございます。
落ちついたら本家にご挨拶に行きたいと思っておりますので、よろしくお願いします」
丁寧な口調に翔真は苦笑しているが変えるのは無理だ。直弥に対しても同じだった。彼らがいくら甥といっても、本家の息子だ。それは無理というものだ。
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