第三章 大切な人への誓い

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 「で、どうした?兄さんは何も言ってなかったが」  次男の彼は、本家からそれほど離れていない場所に家族で住んでいる。なので、親子三人での情報交換は容易なはずだ。  「ええ……昨日、突然出た問題でして……」  そこまで言うと、翔真はミスト・カフェに誘ってきた。  キリヤマ・ラフィナート直営のコーヒーチェーン店だ。ラフィナートの飲食店の中で、唯一の一般客向けだ。  一部の店舗には個室があって、多少、霧山グループを思わせた。  二人ともコーヒーを注文した。  届く前に翔真は説明を求めた。待ちきれないのだろう。鷹也が何かを頼む。緊急事態程度は分かるはずだ。  「実は、昨日帰宅した時に真澄……妻から……」  コーヒーが届いても鷹也の説明は続いた。昨日の件だけではなく、数馬という少年の情報も、聞いた範囲で話しているからだ。  全部聞き終わると、翔真はまずコーヒーを一口飲んだ。彼はブラックだが、鷹也は砂糖を少量入れた。
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