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雅庵「……」
血塗れのままベッドで吊られた糸が切れたかのように雅庵は横たわっていた。
雅庵「………死なないなぁ…」6畳程の広さを持つ天井をただ呆然と見つめる
雅庵「(傷もいつの間にか塞がってるし血の跡も消えてる)」
勢いに任せ起き上がり、少しよれたTシャツを捲り左胸を凝視する
雅庵「はぁ…」
生きる気力を感じさせないようなため息を吐いた途端インターホンが部屋中になり響く、心当たりを幾つか思い浮かべながら煩わしそうに玄関へと向かい、面倒事回避する為に築き上げた余所行きの表情を作る。
雅庵「はーい…って十月か」
訪ねて来たのは2年間の腐れ縁である十月由希だった。インターホンの主が分かった途端予備動作もなく正気の無い眼差しに戻り、無意識の内にため息は溢す。
十月「うわ、友達に向かってその態度はないわー不登校の雅庵ちゃんが心配で来たんだよ?死にたいわー」
雅庵「じゃあ一緒に死ぬ?」
十月「…もう少し頑張ってみようかな」
雅庵「また一人の命を救ってしまった…で、用件は?」
十月「まず家に入れて」
雅庵「それは要求だろ、却下」
十月「良いじゃん、外暑いんだから」
雅庵「部屋に入ったらアタシの部屋が暑くなるだろ?」
十月「そんな狭くないでしょ…あーあ、アイス持ってきたのにどっかのメンヘラのせいで溶けちゃう」
雅庵「…うっさい馬鹿」
このまま十月を放置しても無駄だと悟り、アイスのついでに十月を雅庵の部屋に入れる
十月「えへへー♪雅庵だーいすき!!」すかさず十月は雅庵に抱きつく
雅庵「暑い暑い」
抱きつく十月を見ようともせず雅庵は無理矢理彼女を引き剥がそうとする
十月「そのまま暑さで死んでみる?」
雅庵「お前は蜜蜂か?ついでにお前も死ぬが」
十月「そうだっけ?」
雅庵「知らないでやってたのか…麦茶でいい?」
台所に向かい冷蔵庫を開ける。その中から2㍑の麦茶が入ったペットボトルを取り出し2つのコップに入れる。
十月「うん、氷多めで………にしてもまた自殺したの?床がちょっと赤いけど」
血の色だろうか、少し赤みがかったフローリングを十月が見渡す。
雅庵「今回もダメだった」
雅庵はついできた麦茶をテーブルの上に置き再びソファに座る
十月「ありがとー……で、今回の死因は?」
雅庵「……皆がアタシに構ってくれなかった………」
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