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午後6時
雅庵「はぁ……」
深くため息をつきながら持っていたスマホを床に伏せ、ソファの背にもたれ掛かる
十月「今度はどしたの?」
自分のスマホに視線を向け雅庵の話し耳を傾ける
雅庵「今度はツイッターでグループ内の陰口が始まった…」
十月「うわ…直接言えないのかな…なんか聞いてるこっちがムカつく」
雅庵「言えないんだろ…ま、直接言っても苛めと何ら差し支えないけどな」
十月「………そうだね…」
雅庵「ただの経験談だがな」
自嘲気味に笑う雅庵
十月「言葉の重みが違うよ…」
雅庵「……そりゃどうも…にしても陰口の相手とはきっと相互フォローだろうに…これじゃあバレるぞ?」
十月「それって…わざとじゃない?」
雅庵「どういう事だ?」
十月「えっと…あー…分かってる癖に誰だろうな~ってすっとぼけるする感じ?」
雅庵「要は煽ってんのか」
十月「そうそれ!」
スマホから視線を外し、雅庵を指差す
雅庵「んで、そのついでに『どうしたの?大丈夫ー?かわいそー』って言われたくて悲劇のヒーロー、あるいはヒロインを気取りたいと」
十月「そんな感じじゃない?」
雅庵「なるほどな…抜けよっかなこのグループ…おかしくなりそうだ」
十月「うんうん、抜けた方が良いって!」
雅庵「そもそもこの出雲ってのが雰囲気を悪くしてんだよな」
十月「出雲?めっちゃ神様集まって来そうな名前だね」
雅庵「殆どこいつのご機嫌とりに振り回されてるようなもんだ」
十月「例えば?」
雅庵「例え…?そうだな、独り言をわざわざ発言して誰も返事を返さないとヘソ曲げたり、あるいはこっちが返事しても『あー…』とか返事返さなかったりとかな」
十月「うっわ…ブロックしちゃえば?」
雅庵「でも、コイツを出すと色々と支障が出てな…周りをイビってばかりなんだけど可愛い所もあるんだ…」
十月「完全に毒されてるね…」
雅庵「そうだな…分かってる…でも、ここを出たらアタシは…」
十月「ねぇ…どうしてそこまでこのパーティーにこだわんの?そりゃ雅庵に何があったかは知ってるけど…」
雅庵「……ここが唯一の私の居場所だから…」
十月「雅庵…これからもそうしてくの?…もし出雲を追い出しても雅庵の居場所はそこなの?」
雅庵「…他にどこがあるんだよ…私の居場所はここだ…ここでしか生きらんない」
涙声で十月に訴えかける
十月「そっか……」
雅庵に向かって倒れこむ
雅庵「由希!?」
倒れこむ十月を雅庵が慌てて抱きしめる
雅庵「…………っ!!」
胸部に痛みを感じ、突如目を見開く雅庵
視線を下ろすと心臓には包丁が刺さっていた
雅庵「ゆ…由希?…」
雅庵の着るTシャツが血の色に滲んでいく
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