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十月「…大丈夫、一緒だよ………」
徐々に深く刺していく
雅庵「なんで…」
十月「雅庵はさ…自殺は出来ないけど殺される事は出来るんだよね?…だったら…私が殺してあげる…」
雅庵「……何でアンタまで死ぬの…」
十月「…雅庵に酷い事したから…自分勝手かもしれないけど償いたいから……違うな…ずっと一緒に居られるからかな…」
雅庵「…酷い事…?」
十月「私ね、出雲なんだ」
雅庵「え…」
十月「恐い世の中だよね…顔も名前も出さなくても自分の言いたい事が言えるんだもん…私が出雲になった時に雅庵に言ったのは全部本音、どいつもこいつも雅庵にまとわりついて困らせてさ、鬱陶しかったんだよね。邪魔で邪魔でしょうがなかった。」
雅庵「…でも、アタシはそいつらを選んだ。」
十月「…分かってる、まとわりついて困らせてたのは私の方だった…嫌われて当然なんだ…」
しばらくの沈黙を破るように雅庵がため息をつく
雅庵「……嫌いになるわけないだろ…」
十月「えっ…」
雅庵「…こんなにアタシの事を思ってくれてるのに…無下にしたのはアタシだ…なのにアタシは顔も本名も分かんない奴らを選んだ…ごめん…」
十月「雅庵…?」
雅庵「一緒に死ぬんだろ?こんな刺し傷じゃ後遺症と刺し傷が残るだけだ、もう一度刺してくれ」
歯を食い縛り腹部に刺さった包丁を抜き震える手で十月に手渡す
十月「そんなの…出来ないよ…」
雅庵「じゃあ誰がやるんだ?アタシじゃ死なないんだぞ?」
十月「……」
包丁を手に取り雅庵に向ける
雅庵「次は外すなよ?」
壁に赤いシミが1つ、しばらくしてまた1つ壁に浸透していく。
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