一、新寮長

10/13
前へ
/300ページ
次へ
 食堂に入ると、そこには清次郎の姿があった。  一番奥の一段上がったテーブル。咲希と慧の1年生の時からの指定席で、何やらパソコンを眺めてる。 「清次郎、部屋の準備は?」  亜実が声をかけると、ようやく顔を上げた。 「もう頼んだよ。……何で一条と結坂まで」 「私が呼んだのよ」 「何で」 「誰に四階に入ってもらうかも話し合わなきゃいけないし、夕食の発注とか案内とかも必要でしょ?」 「それくらい俺が」 「忘れてたでしょう」    亜実が断言すると、図星だったらしい。途端に顔をしかめた。  亜実は気にする事なく歩み寄り、清次郎の隣の椅子へ腰をおろす。続いて、健司は亜実の隣に、慧は清次郎の逆隣に、咲希は健司と慧の間に座った。 「とりあえず博と謙太に案内を頼んでいるけれど、部屋はどうする?」 「どうせランクが決まるまでの仮なんだから、どこでもいいだろ?」 「四階はAランクの部屋しか空いてないもの。ランクが決まって、やっぱり小さな部屋に移ってじゃ可哀想でしょ?」  すると、清次郎は無言で数枚の紙をテーブルの上に置いた。見れば、新入生のプロフィールだ。勧誘した八人のものらしい。身を乗り出して、皆で覗き込む。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

545人が本棚に入れています
本棚に追加