一、新寮長

12/13
前へ
/300ページ
次へ
   新入生のランクは、入学翌日の午後四時に発表される。  番号もまだわからないから、見れるのはAランク以上の生徒の名簿だけ。それでも談話室には緊張が走る。 「よし、見るぞ」 「はい!」  健司が動かすパソコンを、亜実と慧と共に覗き込む。帰ってきた孝則と、博と謙太も、固唾を飲んで見守った。  今年の新入生はSランク一人、Aランク九人。そして、その中に先端技術科の1年生は。 「Aランクに一人。深見幸義君が入ってます」 「それだけか?」 「はい……」  何度確認しても、一人の名前しかない。重いため息がいくつも重なった。  そして。新入生を迎えに行った清次郎は、不機嫌さを隠しもせずに帰ってきた。 「どうだ?」  孝則の問いかけに、視線を合わせる事なく答える。 「A一人、B五人、Cニ人です」 「え……?」  思わず声が出た。 「え、どうするんですか?」  慧も。 「Bランク以上しか入れないんじゃ……」  謙太も。 「勧誘しておいてC以下なんて、今までこんな事あったんですか?」  博も、驚きの声をあげる。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

546人が本棚に入れています
本棚に追加