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「家にも電話一本ないって。卒業以来誰にも姿を見せず、本当にどこにいるんだか」
由羅はそう言って息を吐いた。
そこにインターホンの音が鳴り響く。
「咲希ー! お客さーん!」
「はーい!」
柚子の声に出てみれば、玄関には涙を浮かべた女性達。
「高宮先輩っ!」
「結坂さん……約束、守ってくれてありがとう」
高宮や立川達五人は、泣いているのに笑ってる。そして同時に、一つの足音がすごい勢いで階段を駆け下りてきた。
「奈津紀! 諒子! 未知子! 葉子! 恵理!」
「春奈っ!」
六人はそのまま縺れ合うように抱き合った。
「春奈っ! 春奈だあっ!」
「やっと触れる!」
「もう絶対あんな所に返さないからっ! 絶対連れて行かせないからっ!」
「みんなぁっ……会いたかった!」
玄関先で繰り広げられる再会劇に、「とりあえずあがってください」なんて口を挟むのも憚られて、見守る事しかできない。会う度に言い争い、時には足を踏みあった柚子ですら何も言わず。
「テレビを見たって姫の会社宛てに電話があって、ここの住所を教えたの! 事情は聞いてたけど、まさか咲希がここまで高宮達と仲良くなってるなんてねー!」
少しくらい相談してくれても良かったのに。代わりに咲希に向かって口を尖らせた。
そして。
【今入りました速報です!】
学園から脱出して一週間。
【政府はネデナ学園について以下の事を発表しました】
【ただいま始まりました緊急記者会見の様子をご覧ください!】
事態は決着した。
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