一、新寮長

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 そう言って、今度はテーブルに視線をやる。 「ちなみにこれは?」    テーブルの上には、人数分のカップとティーポット。今日はあまり時間もなくて、一人一脚の三段トレーはやめて、平皿にクッキーとバウムクーヘンを盛り付けてある。 「柚子先輩が置いていってくれたアフタヌーンティーセットですけど……」  どしたのかな? そう思いつつ答えると、清次郎はまた怪訝な顔をした。 「いつもこんな感じで話し合いなのか?」 「今まではもっと豪華でしたよ。柚子先輩みたい手際良くできなくて、今日は柚子先輩が置いていってくれたお菓子を出しただけですけど」  反応したのは健司だ。 「え? これも柚子先輩なのか?」 「はい! そこの棚に、みんなで食べてってメモ付で日持ちするお菓子たくさん置いてありました!」 「流石柚子先輩!」  あまりのらしさに笑ってしまう。清次郎は。 「そうなんだ、それならいいんだ」  それだけを返した。 「ま、食べて飲んでだけじゃダメだけどな。そろそろ話し合いするぞ」    孝則はそう言って立ち上がると、隅に避けてあるホワイトボードを引いて持ってきた。 「すみません、俺が持ってきたのに」 「いいって」  慌てる清次郎を手で制して、自らペンをとる。
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