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エピローグ
【お元気ですか?】
いつもの書き出しを書いてしまって、慌てて便箋を丸めた。一週間前に会ったばかりでこれはない。
【私達は無事に学園に戻って、元通りの日常を過ごしています。
玲央と尚人には心配かけた事を怒られて、お詫びに昨日お昼ご飯をご馳走してきました。
学園内のレストランはどこも美味しくて、昨日行った中華ランチも三人共味も量も大満足でした。
二人が心配していた尚人ですが、特に仲のいい友達が三人いて、四人で頑張っています。今日も四人で映画に行くそうです。
玲央は由羅が先生になるために頑張ってると知って、進路を真剣に考えだしています。玲央とはあと1年間、たくさんの思い出を作りたいと思います。
皆元気で過ごしています。
お二人もお体に気をつけてお過ごし下さい】
昨年より少し短くなってしまった手紙を折って便箋に入れると、ほっと息をついた。
「咲希、用意できたか?」
「うん、博と謙太は?」
「下いるって」
「わかった」
返事をして、ふと違和感。
「え?」
「何だよ」
少しぶっきらぼうな言い方だけど、慧の耳は赤く染まってる。
「ううん、何でもない。行こ! ジスラン、慧」
笑って、でも顔は見られないように足早に部屋を出た。
手には大きな荷物。泊まるのは昨年までと同じホテル。久々の寮生揃ってのドリームランドに、胸が高なった。
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