一、新寮長

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「新学期が始まる前にやらないといけない事、書き出してくぞ。まずは誰が新入生への説明会と勧誘に行くか、だな」  孝則は言いながら、ホワイトボードに【①新入生 説明会・勧誘】と書いた。 「まだプロフィールも来てないから、なんとも言えないですけどね。柚子先輩の部屋をどうするかも話し合いが必要じゃないですか? 男が入るなら、家具入れ換えなきゃだし」  健司も続き、【②55号室をどうするか】と書き加えられる。 「あと、選択科目の班どうするんですか? 今までリーダーやってくれてた先輩方が結構卒業しちゃったし、俺と結坂は二人になるんですけど」  と、慧。 「そっか、柚子先輩と蓮先輩との四人班だったっけか?」 「はい」 「湊達の班も美玖先輩達が卒業しちゃって、下級生ばかりになっちゃう筈です」  咲希が付け加えると、健司も「それはまずいだろ」と唸った。  孝則も、 「新学期始まってすぐに活動できるようにしないとな」  と頷いて、【③選択科目の班分け】と書き足した。 「あと何かあるか?」  その問いかけには、揃って首を振る。 「とりあえずはそれくらいじゃないですかね?」 「そうだよな」 「私もないです」  すると、視線は今まで静かだった清次郎へと向いた。 「清次郎は? 他に話し合いたい事とか何かないか?」 「いえ……」  返事はそれだけ。  数秒の沈黙が流れた。
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