一、新寮長

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 その時、音の籠る室内に着信音が鳴り響いた。亜実先輩だ。 「はい」  迷う事なく出ると、亜実らしからぬ慌てたような声が返ってきた。 〈咲希、慧も一緒?〉 「はい、一緒にいますけど……」 〈良かった! 今すぐ帰ってきてほしいの。できたら博と謙太も!〉 「え?」  思わず変な声が出た。  ーー亜実先輩があんなに慌てるなんて。  嫌な予感しかしない。  迎えの車に乗って、二週間ぶりの寮へ急ぐ。そして玄関に入ると、そこには健司と亜実の姿があった。 「良かった、帰ってきてくれて!」 「どうしたんですか?」 「私達、心配になっちゃって、さっき帰ってきたのよ。そしたら……」 「談話室にもう新入生がいるんだ、八人もな」 「八人!?」    思わず聞き返すと、健司はうんざりしたように頷いた。 「しかもな、全員入寮届受理済みなんだ」 「え? ランクが発表されるまでは受け取らないんじゃ?」  博が聞く。 「清次郎先輩が受け取っちゃったらしいんだよ」 「でも三階の空き部屋、七部屋しかないですよ? どうするんですか?」  謙太も尋ねた。
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