三、夏の綻び

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三、夏の綻び

 今年も夏がやってきた。  だけど、今年の暑さはいつにも増して異常だ。  中央に植えられた木はいつも以上に青々と茂り、蝉の音さえいつも以上に煩く感じる。何より、外を歩いているだけで汗が滲んでくる。 「暑ーい!」  終業式の帰り。歩き慣れた寮への道を四人で歩きながらも、思わず声が漏れた。   「どうする? 先行期間の間に行く?」  謙太が聞く。 「行こう。プール入りたい」  慧は即答だ。 「てことは明日だな。咲希、明日の朝までに用意できるか?」 「え、何で私限定?」 「普通、女の方が用意大変だろ」 「あー、ルナさんに手伝ってもらうから平気!」  そう返すと、博は苦笑いを浮かべた。 「何よ」 「いや、クラスの女達は何週間も前からどんな服を持ってくかとか話し合ってるんだけどな」    確かに、最近ショップ街の服屋が賑わっていた気はする。でも、今更そんな事言われても。  すると、隣を歩く慧が口を挟んだ。 「結坂にそういう事言っても無駄だって。それよりもホテルだろ。清次郎先輩が全員分とるって言ってたけど、どことったんだ?」 「ジャイプルだったらいいなー」  そんな話をしながら、早足で寮へと帰る。  寮に入った瞬間、涼やかな空気と賑やかな声が四人を迎えた。
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