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君は私を綺麗だと言ってくれる。私の魂が醜く穢れているのを知らないからだ。それでも君は私を抱きしめてくれる。私は身を委ねた。
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『私を見つけて抱きしめて』の、甘い文章に悠真はさっそく音を上げそうになる。否定するわけではないが、単に気恥ずかしいのである。しかも独白形式だ。
フィクションだとしても、誰かの個人的な感情を見せつけられるはどうも苦手だ。悠真は頭をかいた。
現時点では、ここにある文章を遥が書いたとは考えにくかった。
恋人だとして「綺麗だ」なんて本人に言うものだろうか。自分ならば無理。こっそり思うだけで精一杯だ。
身を委ねる、という表現もなんだか古典的な気がする。まったく遥をイメージできない。
それから、遥はもっと凛としているし、自分を否定するようことは言わないはずだ。そうはいっても。
(ジャンルは女性向けの恋愛小説になるのかな?)
だとしたら、その手の作品を読み慣れない悠真では理解できないのかもしれない。
そこで悠真は、いったん『私を見つけて抱きしめて』を本棚に入れてキープしトップページへと戻る。他の作品と比較してみるのもいいかもしれないと、ランキング一位の『月曜日の悪魔』を開いた。
表紙には、SNSのどこかに棲むらしい悪魔へ、信者を名乗る不特定多数の人間が毎週月曜日に生贄を差し出す、というざっくりとしたあらすじ。さらに。
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読者のみなさん、こんばんは。“月曜日の悪魔”です。
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一行目からコミカルにはじまる。
(意外だな)
ところが、数ページも読み進めないうちに、脳は判断した。
「面白い」
文章力や表現力など技術的なところはよく分からない。もしかするとまだ初心者なのかもしれない。それでも、引き込まれる感じがした。悠真のページをめくる指は止まらなくなる。
(このままだと呑み込まれる)
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