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”月の道を行く”なんて、ロマンチックなことを言ってるだけかと思っていた緑の言葉。『色々あんのよ』と悲しく笑うのはきっと意味がある。
麻里は分かってしまった。緑が行こうとしている場所が。
『月の道』なんて言っても、月の光が写っているだけのただの海。月光の道を辿って進めば進むほど、深く深く沈んで行くだけ――。
「……一緒に行こうかな。『月の道』」
「お? 行っちゃう?」
「……どうせ、どっか行っちゃおうと思ってたんだ。緑ちゃん、一人じゃ淋しいじゃない。……うん。私、一緒に行く」
麻里の決意したような真剣な眼差し。
緑は一瞬、驚いたような顔をした。
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