破 / 瓜

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破 / 瓜

締め付ける胸布はなく掛布だけが私を世界から遮る。適度に湿り柔らかい肌ざわりの掛布。素肌にあたる布のとろけるようなさわり心地を堪能していた。 テオは隣りで軽い寝息を立てている。 熱をもつ身体。背中に近寄ると汗をかいているのかうっすらと湿気を感じる。赤子のカイルのようだ。 半身を起こすと身体がぎしぎし音を立て痛む。テオを起こさないようそっと立ち上がると何かが股の間に挟まったままのような異物感がした。下腹部も少し熱を持つようにひりひりとして痛い。 痛みや違和感から昨晩のことに思いをめぐらせた。身体で受け止めたテオの熱。 その熱さと痛みに私は絡めとらわれてた。 日差しで温められる前の部屋の空気はまだひんやりとしている。 朝の日差しは相変わらず白く明るく、隙間から差し込む光にてらされた塵がきらきら舞っていた。 他者を受け入れると見える世界は変化するのだろうか。そういった疑問を抱いていたけれど、実際は私の身体が少し痛むだけで世界は変わらず以前と同じ時が流れていた。 続き部屋の浴室に入る。 朝から湯は用意されていない。桶で水を汲み、用意されていた布で身体を拭いた。 冷たさに肌がすくむ。 ぽつぽつと身体のあちこちに散る赤いうっ血を指でたどりながら昨晩のことを一つ一つ思い出していた。
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