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美月は一段目のベッドによじ登り、カーテンを開けて空を見上げると、歓声をあげた。
「にいに見て、手で触れそう」
陽太も美月のベッドに乗って、美月の隣で空を仰ぐと、青白い月がにじむように夜空を藍に染めている。きれいだなと魅入られていたら、美月がいつものおねだりをした。
「にいに。お月さまが欲しい。このお部屋に浮かべたら、電気を消しても明るいままだもの」
「う~ん。それはちょっと、さすがの僕でも、できるかどうか分からないよ」
「にいには何でもできるよ。知ってるもん」
「う~ん。美月に言われると弱いんだよね。分かったやってみる」
最初に言ったけれど、僕には秘密の力がある。
なぜ気が付いたのかというと、美月が遊びたがっていたぬいぐるみが棚の高いところにあって、良いところをみせたくて、手が届かなかったのを何とか取ろうとしていたら、ぬいぐるみが動いたのがきっかけだった。
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