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英梨さんは俺のことを何もわかってないからそんなことが言えるんだ。
俺は母のような異性にだらしない大人にはなりたくない。
ただ快楽を求めるために、誰とでも簡単に体の関係を持つようなことだけは絶対にしたくないし、そういう人間には嫌悪感を抱いている。
俺も本当に好きな人ができたら、自然とその人の体を求めるようになるんだろうか?
それは俺にとっては未知の世界で、恋愛感情というものもよくわからないから、本気で人を好きになったことがない俺はやっぱりまだまだガキなのかも知れない。
英梨さんは黙り込んでしまった俺を不思議そうに見ている。
「潤くん……?どうかした?」
「なんにもない。俺、勉強するから」
シャーペンを握って無理やり話を切り上げると、英梨さんはそれ以上何も言わなかった。
俺はテキストを見つめながら、恋愛なんかに振り回されて大事なものを見失うような情けない男にだけは、絶対にならないと心に誓った。
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