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シナモンアップル
オーブンの音が鳴る。恋人が台所から焼きたてのアップルパイを持ってきた。
渡されたアップルパイは美味しそうで、冷ます間も惜しくて、大きく口を開けて齧り付いた。熱くて甘くとろけたりんごとシナモンの香りが口の中に広がる。
恋人お手製のお菓子を食べるのはこれが初めてではない。恋人は私が好きなお菓子を作るのが上手くて、仕事で疲れたなと言うときに、こうやって用意してくれる。
恋人の方をちらりと見ると、猫舌な彼はよく息を吹きかけて冷ましてから、少しずつアップルパイを囓っている。納得のいく味なのだろう、ひとくち飲み込んでにやりと笑った。
もくもくとパイを食べる彼を見て思う。今度は私がなにか作って、彼と一緒に食べよう。
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