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娘さんも性的なことを、気にする年頃だったのです。お父さんが庭から私を外し、水洗いし、そして、じめじめした物置の奥にしまわれました。こんな扱いも慣れっこですが、お父さんが、物置で劣情を抱き、生温かい鼻息をかけ、こっそり私の胸を触ったんです。
このエロオヤジ! 頭に血が上り、叫んでやりたかったです。怒りを通り越して、呆れ果てたのは、よく覚えています。
物置では寂しい数年を過ごしましたが、家族のご多幸をお祈りし続けます。たまに庭から聞こえる声に耳澄ませます。幸せに過ごしているようです。
ある日のことです。月明かりの下、作業服姿の数人がかりの男性が私を運び出したのです。悪そうな人たちには、見えないです。
肺はないのですが、深呼吸をしたつもりで、冷静になります。湿気の少ない秋の空気みたいです。もし、泥棒なら、記憶に留める必要があるからです。
庭に、時計が飾られていないのです。月の満ち欠けから今の時期を判断します。月は満月、秋の花のコスモスさんや、キンモクセイさんが心配そうに、花弁を私に巡らせようと必死です。コスモスさんが叫びました。
〈ヴィーナスさん、夜の8時くらい。私が咲いているから季節は秋。お月さまを見ながら、月が綺麗な時期って、娘さんが、さっき庭で、食べ物をお気ながら、言ってました〉
〈食べ物泥棒かしら? ありがとう、お花さん、ご家族は?〉
〈みなさん、ご自宅で一緒にいます〉
特殊な能力を使って、家庭内の様子を除きます。ご家族が楽しそうに一緒に、話している光景が脳裏に浮かびます。ドアと全ての窓に私がロックをかけました。
〈あれ?〉
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