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「アキ。味見して」
そう言ったのは黒のエプロンをし、朝食を作っている方の花咲月くんだった。
朝食を作っている花咲月くんに『アキ』と呼ばれたもう一人の花咲月くんは『ん』とだけ返事を返すと調理をしている花咲月くんの後ろに回り、そのまま後ろから抱きついて『あーん』と口を開けていた。
「こら・・・アキ。抱きつくな。食べさせにくいだろ?」
そう言った花咲月くんは呆れている様子だったけれど、嬉しそうにもしていた。
「いいでしょ? いつもやってくれてるんだし。それに朝のスキンシップだよ」
そう答えて味見用のフレンチトーストを口にした花咲月くんはご機嫌そうに『美味しい』と答えて笑み、おかわりのフレンチトーストをせがんでいたけれど、それは拒否されてしまっていた。
「スキンシップ・・・。お前、そう言えばまた春海の部屋で寝てただろ?」
・・・ん?
「うん。兄さんの邪魔をしないように気を遣って・・・ね?」
ん・・・んん゛!?
やってしまった・・・。
俺はまた間違ってしまっていた・・・。
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