どっちがどっち?

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「ちゃんとしたいんだ。俺も働いてるんだから・・・」 俺はそう言って胸を張っていた。 俺ももう社会人だ。 だからちゃんとすることはちゃんとしたいし、背伸びもしたい。 「・・・はぁ。・・・わかった。兄さん・・・秋人(あきと)には俺から言っとくよ」 小さな溜め息を吐き出し、そう言ってくれた秋人(あきひと)くんに俺は『よろしくお願いします』と言って甘えていた。 秋人(あきと)くんと秋人(あきひと)くんは双子でその顔立ちはもちろんのこと、声や筆跡まで似ている。 その上、身長と体重に至っては全く同じらしく、今の俺では二人の見分けがつけられないのが現状だ。 だから今朝のようなことが度々起こる・・・。 「秋人(あきひと)くん・・・今朝は本当に・・・」 「次、頑張って」 俺の言葉を遮り、そう言ってふっと笑んだ秋人(あきひと)くんは本当にイケメンで男前だった。 そして、そんなイケメンで男前な秋人(あきひと)くんのことを俺は・・・。
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