165人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・チュッ・・・。
それは微かながらもはっきりとした音だった。
そして、その音と共に俺の額には何か柔らかいものが触れていた。
その音とその柔らかい感触に驚いた俺はまだ眠たかったはずの目を見開き、ひゅっと冷たい空気を飲み込んでいた。
「・・・おはよ。春海」
改めてそう言ってクスリと笑った『秋人』くんに俺の心臓は見事に壊された。
それはドクドクと・・・バクバクと・・・キリキリと・・・ザワザワと・・・。
そう騒ぐ心臓が・・・胸が・・・心が苦しく、痛かった。
「・・・『秋人』くん・・・あの・・・」
「悪かったね。勝手に部屋に入って」
「え? あ・・・いや・・・大丈夫・・・です」
俺はそう答えながら『秋人』くんの腕が頭の下から引き抜かれていくのを寂しく感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!