165人が本棚に入れています
本棚に追加
『秋人』くんはベッドの上に身体を起こすと枕元に置いていた(投げていた)眼鏡をすぐに掛け、俺のベッドから出て伸びをし、清々しそうにしていた。
そんな『秋人』くんの様子を見るのは正直なぜだか辛かった。
何もない・・・。
いや、何もなくて当たり前なんだ・・・。
そう思うととても暗い気持ちになった。
「春海・・・明後日は休みだよね? 何か予定は入ってる?」
「え? 明後日? 何もないけど・・・」
俺はそう答えながらベッドの上に身体を起こし、ひっそりと小さな溜め息を吐き出していた。
「じゃあ・・・デートしない? 俺と」
デート?
デート・・・?
デートぉ!?
「するっ! 絶っ対する! デートするっ!」
俺はそう答えて先ほどまでの暗い気持ちをすっかりと忘れてしまっていた。
俺は単純だ。
それは『馬鹿』と言われてしまうほどに・・・。
最初のコメントを投稿しよう!