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『いい匂い・・・。フレンチトースト?』
『うん。・・・米の方がよかった? 鮭も頂き物の明太子もあったんだけど・・・』
『いや、今朝はフレンチトーストの方が嬉しい。鮭は夕飯にでも。明太子はアテにもなるし』
『そうだな。今夜は何飲む?』
階段を降りているとそんな会話が聞こえてきた。
それは何てことのない会話だった。
けれど、おかしなところが1つあった。
それは『声』だ。
会話だから話している相手の他にも誰かがいるはずだ。
なのにその会話をしている『声』は1つだけだった。
「・・・おはようございます」
俺はそう言って階段を降り終えてキッチンに立っている二人へと目を向けていた。
「『おはよう。春海』」
その挨拶の声は確かに二人分のものだった。
だけれど、その声は1つだけだった・・・。
そして、その声の主の顔は2つあるのにその顔の作りは1つの同じものだった。
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