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気が付くと俺は商店街に立っていた。
「あら長太郎くん、今帰り?」
「部活やってるの? 何部?」
井戸端会議をしていた近所のおばちゃん達が聞いてきた。
「バレー部です……」
俺はそれだけ言うと走って家へ向かった。背中の学校指定のリュックが揺れる。リュックだと両手が空いてるから思い切り腕を振れる。
学ランの詰め襟が苦しくてホックを外した。走りながら自分が中学生だと実感した。
学生カバンはもう無い。ブレザーの制服も着てない。景色が違う。俺は確か中学の3年間で20センチ伸びたんだ。今の俺はまだチビだ。この身長からすると中1かもしれない。
まだ体力もあんまり無いからもう疲れて来た。家までもう少しだというのにもう息が切れてきた。
待ってろ自分。これからバレー部で鍛えてやるからな。待ってろよ。
息が切れて目の前が白くなり始めた時、俺はついに発見した。
懐かしの我が家の玄関を。
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