夢を食べる獏の話

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 またまたある日散歩をしていると、 みちばたで男の子が泣いているのを見つけ ました。  「こんにちは。どうしたの?」  夢食いばくが声をかけると、男の子は しくしくと泣きながら言いました。  「あのね、ぼく、サッカー選手になりた かったの。すっごくすっごくなりたくて、 たくさんたくさん練習したの。でもね、今は 全然なりたいなって思えないの。」  男の子が、うわぁんと泣き出します。  「とってもとっても憧れてたはずなのに。 なんにも思わなくなったのが悲しいの。 ぼくの夢は、どこにいったの?」  夢食いばくは男の子の顔を見て、はっと しました。そしてあわあわと言いました。  「ごめんね、ごめんなさい。きみの夢は ぼくが食べちゃった。」
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