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「手紙」
「手紙」
K子は、僕が学生時代につき合っていた女性だ。
当時、20歳を迎えたばかりの僕は、
人並みに恋をし、ふられたりを繰り返していた。
更に、これも人並みだが、
女の子に言われたことで、深く傷つくこともあった。
そんな折、ふとしたきっかけで知り合い、
誰よりも深くつき合うようになったのが、
10歳も年上のK子だった。
学生同士のカップルが多い中、
年上の彼女・・ということを自慢したかったのかもしれない。
逆に言えば、
K子とつき合うようになったのは、それだけの理由だったのかもしれない。
僕はK子といろんな所にでかけた。
デートの費用は必ずK子持ちだった。
K子は優しかった。
年上のせいもあるが、
そんな理由より以前に彼女には、
他の人にはない優しさというものが備わっている気がした。
そんなK子に僕はいつも甘えていた。
僕が男友達と遊び、飲み、疲れ果てると、
辿り着くのは必ずと言っていいほど、K子の住むアパートだった。
K子はいつも酔いつぶれた僕を嫌がりもせずに受け入れてくれた。
僕がK子を愛していたのか、どうかは分からなない。
自分自身の気持ちは分からないが、
K子が僕を愛しているのは、確実に分かった。
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