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朝だ。 そうわかったのは、目覚めたときに入ってくる光が月明かりではなく太陽の明かりだったからだ。 「起きたの?」 彼女が僕の顔を覗き込んでいる。 彼女の黒いワンピースの胸元が破れていてその辺りを中心に血が広がっている。 けれど、彼女には傷一つ無かった。 僕は起き上がりながら彼女に言った。 「また駄目だったんだね」 「そうみたい」 周りを見回すとここが真夜中に来た浜辺だと、崖から落ちてほとんど漂わずにここに流れ着いたのだとわかる。 海に入ったおかげか、服に染み付いた血以外の血はどこかへ流れていったようだ。 「次はどこへ行く?」 「都会はどうかな?」 「あなたが人を殺したいだけでしょ?」 「バレたか」 彼女は不死身。 僕は殺人鬼。 次はどこへ行こうか話しながら、僕と彼女は月明かりの中での静寂を待ち望んでいる。 しばらく、死ねそうにないと思いながら。
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