虜囚

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遮るものがない広い空がどこまでも続いていた。 地下の湧き水によって出来た緑の草木に囲まれた小さなオアシス。早くしろ!と警備の兵士に急かされ、ユキヤに手伝ってもらい急いで子供たちの頭と体を洗っていた。 傷がひとつもない子供は誰一人としていない。例え目に見える傷がないとしても、心は深く傷付いている。 キラキラと輝く笑顔。そして青く澄んだ透明の目。 でも彼らにうつる世界は暗く淀み、濁った世界で……… 無力な自分には彼らを助けることが出来ない。悔しくて腹が立った。 「コウダイどうしたの?」 「どっか、ぐあいわるいの?」 子供たちの声にハッとして我に返ると、みんな心配そうにコウダイを見上げていた。 彼らの前で悲しい顔をしちゃダメだ。 塞ぎ込む暇なんてない。 笑顔を絶やさずいればいつか道は開ける。母・未央の言葉だ。そうだ、笑顔を忘れちゃいけない。こんな時だから尚更・・・ 「ううん、大丈夫だよ」 満面の笑みを浮かべ、にっこりと微笑み掛けた。
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